BIG CATCH
Tkanosuke Yasui

壁画 NO.4「BIG CATCH | 名振のおめつき」

Artist:Takanosuke Yasui / 安井鷹之介
Size:高さ6m×幅28.8m
Date:2023年
Material:関西ペイント塗料

CONCEPT

ここ雄勝町名振地区に壁画を描きたいとなったとき、リサーチのヒアリングの際にある住民さんより「津波から生き残った大きな三本松のところに、”おめつき”の絵を描くのが面白いのではないか。」と助言をいただいた。“おめつき”というのはこの地区で200年以上前から続く火伏せの祭りの行事の一つで、地区内を重さ1トンの神輿を担ぎ回りながら即興寸劇を行うというもの。実際にこの三本松越しに男たちが荒ぶる御神輿を担いで通っていくというのが、その方の幼少期からの原風景でもあるとのことで、この場所に描く意味があると考えた。
また現在は高齢化や人口減少により開催が困難となっているこのお神輿を壁画とすることで、時代に合った持続可能な形にアジャストした新しいお祭りが生まれるかもしれないとの可能性にも触れ、筆を握った。

子孫繁栄、大漁祈願、家内安全、無病息災、火の用心、たくさんの願い事が含まれるこの祭りは、何ヶ月も手作りで準備をして開催されるほど地元の方達に愛される自慢の行事である。壁画を描いてる際もたくさんの住民さん方に溢れんばかりの熱のこもった思い出話を聞かせていただいた。
完成した際に「これが俺か」「あれはうちの息子」「先頭にいるのは○○だ」そんな会話が生まれた光景にも、祭りへの愛を強く感じ、都会では薄れゆく土着的なコミュニティの文化の美しさに触れた。
またこの作品における「皆が一つの塊となって物を動かす」という構図は、宮城県出身の彫刻家である佐藤忠良の描いた絵本「おおきなかぶ」に重ねて構成した。自分の恩師が彼の教え子だったこともあって、こうして宮城で「彫刻家が絵を描く」という仕事をする数奇な繋がりも大切にしたい。
さらに言うと、壁画が完成した2023年10月25日からちょうど1ヶ月後の11月25日に我が家に第一子が無事誕生したというのも、このお祭りに関与できた恩恵だったのかもと思っている自分も、この土地の不思議な力に魅了される"おめつき好き"の一人に加わることができたのかもしれない。
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    BIG CATCH | 名振のおめつき

    2023年に制作された、美術館4作目の壁画。高さ6m、幅28.8mのBIG CATCH (名振のおめつき)


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    Artist

    安井 鷹之介

    愛知県出身
    東京藝術大学彫刻科卒業
    MAHO KUBOTA GALLERY所属

    大学在籍時、ミケランジェロやロダンなど古典から近代までの彫刻を学び、一方で主に欧米の現代アートの潮流に触れる。石膏と布で造形した彫刻で注目を集め、このオリジナルな手法を用い独特のボリューム感を持つペインティングも制作する。日本人離れしたセンスと現代的で開かれた表現が幅広い層の共感を呼んでいる。
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